「戦前」という時代
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書籍名 「戦前」という時代
シリーズ 単行本
著者 山本夏彦
初版発行 一九八七年十一月一日 〔昭和62年〕
紹介版 一九八八年一月二十五日 第四刷
発行者 西永達夫
発行所 株式会社 文藝春秋
ISBN 4-16-341820-2
定価 1,100
274
印刷所 凸版印刷
製本所 中島製本
装幀 坂田政則
カバーイラスト 川田 徹
初出誌 「諸君!」 昭和59年10月〜昭和60年12月
「室内」   昭和54年10月〜昭和61年 7月
かいつまんで言う  「諸君!」連載の『笑わぬでもなし』と「室内」連載の『日常茶飯事』をまとめた本。
 文藝春秋の「諸君!」「文藝春秋」「室内」に連載したものを纏めたシリーズは『装幀:坂田
政則 カバーイラス:川田憲一または川田 徹または川田進』でありこれはその9冊の第4冊目である。
 「戦前」という時代にこだわった編集で、特に「室内」に連載したものは期間がかなり長いもの
から選んだものである。ただ、全体に地味な作品が多く、どれだけの人が興味を持って読むもの
なのかは計りかねるところではある。
 本書「あとがき」に『何より買いだしだのヤミだのいう。売るものがなければ買えない。千葉埼玉
茨城−東京の近在でも自分たちが食べてなお売るものを持っていたのである。つまり日本人の
大半は食うに困っていなかったのである。「『戦前』という時代」はこれだけのことを言うために
書いた』とあるが、この「『戦前』という時代」はコラムの題名であり、本全てが一つのコラムでは
ない。色々と沢山のコラムがある。
 その「『戦前』という時代」には山本氏の根底に流れているものを分り易く言っているものがあり
『鬼畜米兵などと言われても彼が鬼畜なら我も鬼畜だろうと思っていた。彼に正義があるなら
我にもあろうと思っていた。原爆許すまじといっても出来てしまったものは出来ない昔には戻れ
ないと思っていた。それは皮肉でも何でもない。』とあり、達観しているのか、絶望しているのか、
ただの厭世感ではない。
 山本氏のお気に入りであり、その才能と作品を絶賛した向田邦子氏のことを書いている
「向田邦子一周忌」に『一両年を経て私は「あ・うん」を再読して、ここに尽くせないほどのものを
発見した。もう一度読んだらなお発見するだろう。その作者が不慮の事故にあうとは神も仏も
ないが、この世はしばしば神も仏もないところだから、向田邦子はそれなりに完成した作家として
終ったのだと私はあきらめることにしたのである。』とあり、たしかにあきらめることしかできないが、
事故に遭うことがなければ、どれほどのものを我々に書き残して呉れたものか、誠に残念である。
 その他分り易いところでは「宴会」に『四十五十になって会社では幹部なのに、自分の会社の
製品がほめられているからコピーさせてくれという。「室内」に出ているから値打があるのだ。
その部分だけコピーしたら値打ちはなくなる。』とあるが、これが創作でなかったとしたら凄い
人もいるもんだ。その卑しさはどこからくるものだろうか、個人だけのものではないのであろう。
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シリーズ 文春文庫
初版発行 1991年4月10日 〔平成3年〕
紹介版 1991年4月10日 第1刷
発行者 豊田健次
発行所 株式会社 文藝春秋
ISBN 4-16-735205-2
定価 400
286
印刷 凸版印刷
製本 加藤製本
カバー 多田 進
単行本 昭和62年11月文藝春秋刊
解説 石堂淑朗
かいつまんで言う  山本夏彦氏の文春文庫18冊中の5冊目。
 石堂淑朗氏が「解説 -あら尊うと我が師の恩」の中で「年を経た鰐の話」を『後が大変だ、と
読者に思わせる、年に相応しからぬ老成、老熟があった。だから言うのではないが、山本さんは
長い間雑誌の編集に凝って自らの文を発表することすくなかった。精神年齢に生理年齢が追い
つくのを気長に待っていた節がある。』と書くが、やはり発想が凄いなぁ。
 確かに山本氏の最初のコラム集「日常茶飯事」でさえ氏の48歳の時である。それから永き
約40年、第一線で御活躍されたわけである。
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