寄せては返す波の音
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書籍名 寄せては返す波の音
シリーズ 単行本
著者 山本夏彦
初版発行 二000年九月三0日 〔平成12年〕
紹介版 二00二年一二月二0日 三刷
発行者 佐藤隆信
発行所 株式会社 新潮社
ISBN 4-10-341310-7 C0095
定価 1400
232
印刷所 株式会社三秀舎
製本所 株式会社大進堂
装画 堂本尚郎
装幀 新潮社装幀室
初出誌 「週刊新潮」 平成十年四月九日号〜平成十二年五月十八日号から100回分
かいつまんで言う ■「週刊新潮」連載「夏彦の写真コラム」新しいシリーズ4冊の第3冊目。
 夏彦の写真コラムとしては10冊目。本書も文庫本はない。
  山本氏が何回も何十回も言っていることだが、「君には忠、親には孝」の孝について
 本書「さきだつ不孝をお許し下さい」に『いくら善美をつくした老人ホームでも幼な子の
 いないホームはホームではない。老若男女がいてはじめて浮世である。赤子がいるから
 老人は死ねるのである。あれは老人の生れ変りである。選手は交替するのである。』と
 書いている。人が漠然とした不安に襲われるのは、このことをぼんやりと感じているからで
 けれども今はこの宿題に解答が見つからないことも、不安を増長させる。
  「資本主義には正義がない」のコラムは題名を見ただけでその中身が見当がつくが
 まさしくその通りで、それでも納得する。『わが国でも高度成長以来暖衣飽食するのは
 大衆になった。冬暖く夏涼しく着る物も食う物も捨て、居ながらにしてポルノを楽しめる
 ようになった。古人が夢みたまたは夢にも見なかった極楽中の住民になった。これが
 極楽かと不服ならテレビは百害あって一利がないと、とりあげてみよ。しがみついて放さ
 ないからやはり極楽なのである。』と少しずつ変え、「同じことを言う」であるが、これは
 寓話ではない。現在進行形で果てしない道のりの今を観察しているのである。
  「人はいつまで無実か」において、『英雄色を好むというが、英雄でなくとも好む。
 露見しないうちはきれいな口をきくから人生教師になるなかれと再三言うのだ。教師に
 なったら白昼うそをつかなければならない。同僚や上役には非の打ちどころのない
 小学生の先生が、女生徒にわいせつ行為を働いたという。これだって露見しないかぎり
 死ぬまで申しぶんない先生なのだ。』と辛辣なのだが、法に触れなければ何でもありの
 今も世知辛い。
 
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